Simon Kuper

クライフはどんなレベルのフットボールにも当てはまることを言った。横パスは出すな。もし相手にカットされたら、パスを出した選手と受けるはずだった選手のふたりが置き去りにされる。パスはチームメイトの足元ではなく、前に出せ。パスを受けるために走らなくてはならないから、ゲームのスピードが上がる。プレーがうまくいかなかったら、シンプルなプレーをしろ。たとえば、いちばん近くにいるチームメイトに何度かパスを出せ。そうすれば、しっかりプレーしているという感触が得られ、自信を取り戻せる……。 アヤックスの監督として、クライフはクラブの育成組織をクライフ的な選手をつくり上げる生産ラインに替えた。子どもたちは「5対2」のパス練習に明け暮れた。フットボールのすべては、このシンプルな練習に詰まっていると、クライフは言った。